車のブレーキ音が「キーキー」鳴る。異音の原因と修理方法を紹介
「ブレーキを踏んでから止まる時に、キーキー音がする」というケースは、『ブレーキ鳴き』かもしれません。
「音がするだけだから、大丈夫」と放っておくと事故につながる恐れがあります。また部品が消耗しているため、交換せずに乗車し続けると、修理費が高額になる可能性も。
ブレーキ音の違和感に気づき、適切に対処することで、大きな事故や修理費の負担を軽減できます。
この記事では、車のブレーキ鳴きにおける異音の原因や修理方法を紹介します。
正しい知識を身に着けて、楽しいカーライフにしましょう。
ブレーキ鳴きとは?
ブレーキ鳴きとは、走行中にブレーキを使用すると「キーキー」「キリキリ」と異音を発してしまう現象です。
実際に聞いてみると、金属同士が擦れたような、高周波で耳障りな音を感じるでしょう。自分でも嫌な音とわかりますが、歩行者や周囲の人にとっても嫌な音を感じさせてしまいます。
ブレーキ鳴きの構造は、ブレーキを踏む際にパッドとローターが擦れ、ブレーキパッドが微衝動を起こしています。
振動がブレーキキャリパーからピストンに伝わって、ブレーキキャリパー本体、そして足回りに振動が伝播することによって、異音を発してしまうのです。
ブレーキ鳴きの症状
ブレーキ鳴きの症状に多いのは、ブレーキを踏んでから止まるまでの間に発する異音です。
ブレーキを踏んですぐには音に気づきませんが、5キロくらいからピタッと止まるまでに、「キーキー」と音がなるので気づくでしょう。
目視でブレーキ鳴きの症状を確認するには、ブレーキパッドの角にあるバリです。
ブレーキパッドにバリがあると、ディスクローターとバリが擦れて異音がします。またディスクローターの錆も異音につながります。
ブレーキの異音を放っておくとどうなる?
結論からいうと、ブレーキの異音を放っておけば事故につながる場合があります。なぜならブレーキ鳴きが続くと、ブレーキの効きが悪くなるためです。
「ここでブレーキを踏めば止まるだろう」といつもの感覚でブレーキを踏んでも、予想よりも進んだ場所で止まりますこともあります。さらに、雨の日や雪の日はブレーキの効き自体が悪いので、ブレーキ音を抱えたままだと危険です。
また、パッドも消耗し続けると異音も大きくなるので、耳障りがして周囲の人にも迷惑をかけます。
さらに、ブレーキ音を放置し続けると、ブレーキパッドだけではなく他の部品にも影響を与え、修理費が高額になります。
ブレーキ鳴きの原因
ブレーキ鳴きの原因は以下の3つが考えられます。
- ブレーキパッドの磨耗
- ブレーキローターの劣化
- 寒い日にパッドやローターの弾性が低くなる
ここではそれぞれの原因を詳しく見ていきましょう。
ブレーキパッドの摩耗
ブレーキ鳴きの主な原因に、ブレーキパッドの摩耗があります。
ブレーキパッドは、ブレーキを踏むたびに消耗する部品です。いつか必ず交換しないといけません。
ブレーキパッド残量が少ないと、振動がブレーキキャリパーからピストンに伝わって、ブレーキキャリパー本体、そして足回りに振動が伝播します。すると、「キーキー」と異音を発します。
パッドが減少してもしばらくは問題ないですが、異音に気づいたら早めに交換するといいでしょう。
ブレーキローターの劣化
ブレーキローターの劣化もブレーキ鳴きの原因になります。
パッドは新品に交換してもブレーキ鳴きが発生する場合は、ブレーキローターの劣化を疑うといいでしょう。
ブレーキローターの劣化に見られる現象は、『凹凸』と『サビ』です
ブレーキローターの凹凸は、高速度からのブレーキや急ブレーキによって、ブレーキローターの表面にゆがみ出ます。ブレーキローターの凹凸に、ブレーキパッドが当たるとブレーキ鳴きが発生する仕組みです。
一方、ブレーキローターのサビは、経年劣化や気候によりサビが発生します。サビの部分にブレーキパッドが当たると、ブレーキ鳴きが発生する仕組みです。
寒い日にパッドやローターの弾性が低くなる
寒い日の走行も、ブレーキ鳴きの原因となります。
パッドとローターは、どちらも金属であり『弾性』という特性があります。
弾性とは、物体に力が加わると変形し、力が無くなると元の形に戻る現象です。
実は、気候変動でも弾性の現象は起こります。そのため寒い日は、パッドとローター共に弾性であるため、変形した状態でブレーキを行っています。
形が崩れた状態でブレーキを行い、硬い金属同士が擦れると、ブレーキ鳴きが発生する仕組みです。
ブレーキ鳴きの対策3つ
ここではブレーキ鳴きの対策を3つ紹介します。
ブレーキ時に「キーキー」と音がして困っている方は、ぜひ参考にしてください。
1.鳴き止め剤を使用する
鳴き止め剤は、ブレーキ鳴きを低減させる効果があります。
自転車で例えるとわかりやすいでしょう。自転車のチェーンにオイルを塗ると、摩擦を低減し、動きが滑らかになります。
鳴き止め剤も同様に、振動を吸収し摩擦を低減させるため、ブレーキをスムーズに行えます。鳴き止め剤には、ブレーキ専用のグリスを使います。
パッドの裏側に専用のグリスを塗布するのが、正しい使い方です。
効果を持続させるために、適切な量をこまめに塗布するといいでしょう。
鳴き止め剤の注意点
鳴き止め剤の注意点は2つあります。
まず、ブレーキパッドに鳴き止め剤を塗布してしばらくは、ブレーキの効きが甘くなります。そのため、塗布後の走行中はブレーキの効きが甘くなることを想定して、ブレーキを踏むといいでしょう。
次に、鳴き止め剤を使用しても、劣化して部分を修復できるわけではありません。ブレーキパッドの消耗が多いと、鳴き止め剤に頼らず交換した方がいいです。
2.ブレーキパッドの面取り
ブレーキパッドの面取りも、ブレーキ鳴きの対策になります。
ブレーキパッドの角が尖っていたりバリがあると、ブレーキローターとブレーキパッドの金属同士が擦れて異音の原因となります。
面取りをすることで接触面積が減り、金属同士の摩擦が低減するため、ブレーキ鳴きの解消につながります。
車検などでブレーキパッドの交換があれば必ず行う面取りですが、経年使用で行うこともあります。
3.ブレーキパッドを交換する
ブレーキパッドの交換も、有効なブレーキ鳴き対策です。
実は、ブレーキパッドの交換は国の認証・指定工場で受けないといけません。ブレーキやエンジンは命に関わるので、検査基準が厳密に定められています。
ブレーキパッドを交換する際は、国の認証を受けているか確認しましょう。
ブレーキパッドの交換費用は、1カ所なら5000円程度、2カ所なら6000円~7000円ほどかかります。
ブレーキパッドの交換目安
ブレーキパッドの交換は、限界近くまで使用せずに安全を考慮して、早めに行いましょう。
交換費用のことを考えて、限界近くまで使用すると事故につながる恐れがあります。ブレーキの効きが悪いため、思うように止まらないからです。寒い日や雨の日と重なると、さらにブレーキ効きが悪くなります。
また、ブレーキパッドの交換を先延ばしすると、ブレーキ音も大きいため快適に運転できません。歩行者や周囲の人にも迷惑になるため、ブレーキパッドの交換は、早めにしましょう。
まとめ
ここまで車のブレーキ音について解説してきました。
車のブレーキ異音が発生は、『ブレーキ鳴き』といいます。
ブレーキ音に少しでも違和感があると、ブレーキ鳴きを疑いましょう。早期に対策することで、事故を防いだり、不要な修理もかかりません。
ブレーキ鳴きの効果的な対策は、次の3つです。
- 鳴き止め剤を使用する
- ブレーキパッドの面取り
- ブレーキパッドを交換する
快適なドライブを楽しむためにも、記事を読んでブレーキ鳴きの原因を探り、対策を施しましょう。