LSDは背高キャンパーに効果テキメン？
縁の下の力持ち「LSD」
当コーナーでもたびたび登場しているLSD（リミテッド・スリップ・デフ）と呼ばれるパーツ。
そのようなこともあり働きや効能についてはすでにご存じの方も多いかもしれないですが「LSDってなあに？」という方のために今一度その働きについて触れたいと思います。
自動車には駆動力をタイヤから路面に伝える役割と同時に、右左折時やカーブの通過時に駆動輪の左右の回転数の差を吸収して、スムーズに旋回させる働きを促すデファレンシャルが備わっています。
しかし、車体の姿勢が大きく乱れたときや凹凸路面の走行時には、駆動力を安定して伝えられず操安性を低下させる場合も少なからずあります。
もっとも現代の自動車には、トラクションコントロールといった優れた姿勢制御システムが備わるのでクルマ側がサポートしてくれます。
ただしすべての自動車にこれが当てはまるということもありません。
とくに背が高いキャンピングカーは、横風などの影響を受けやすいことも含め車体姿勢の乱れも生じがち。
つまり普通に直進走行している状態でもカーブ通過時と同じような状況がつねに生じているといえます。
操縦安定性の面では乗用車系に対し劣る傾向であることは否めません。
そこで威力を発揮してくれるのが、左右駆動輪の回転差を制御し安定してトラクションを掛けられるLSDというパーツです。
自然な作用が魅力「OS デュアルコアネオLSD」
しかしながらキャンピングカーのベース車に多いトラック系では駆動輪にリジッドタイプのサス構造を採用しているモデルが主流なので、ミニバンのような独立式サス形式に比べタイヤが路面を捉える性能も劣る傾向。
そのようなことから強力なロック性能を備えたLSDだと逆に不向きな面も少なからずありました。
その課題を解消に導くのが次世代LSDともいえる「OS デュアルコアネオLSD」シリーズです。
この製品の特徴は、デフロック効果を生み出すフリクションプレートをセットするサイドギアの形状。
通常の多くの製品はギア歯が平行形状なのですが、斜めのタイプとした「スパイラル形状」を採用しているのです。
これにより左右の駆動差が生じると“擬似的なイニシャルトルク”を作り出して、クロスピン周囲のカムを作動。プレシャーリングを押し開いて左右輪を直結させるという、２段構えの独特なロック作用を生み出すのです。
これにより、つねに穏やかなフィールをもたらし扱いやすさをアップ。
アフターパーツの機械式LSDにありがちな、ゴキゴキ・ガコガコという作動音（チャタリング音）も少なく、車庫入れや交差点を曲がるときにも実にスムーズ！
運転者にも乗員にもとても快適な移動空間を提供してくれます。
また、強い風が吹く高速走行でのフラつきの緩和はもちろん、ステアリングに軽く手を添えるだけでビシッとした直進安定性を得られるのでドライブ時の運転疲労軽減にも作用。
長時間運転が多いキャンピングカーにはもってこいの特性を備えています。
左右駆動輪の回転が均一な状況が「オープン」。
横風などにより車体姿勢が乱れた時や右左折時やカーブの通過時、または悪路走行などで左右駆動輪の回転差が生じると、内部のフリクションプレートが密着し左右の駆動力を直結する「ロック」領域に移行。
これによりきっちり駆動力を路面へと伝えて直進性をアップ。
スリップなどの危険性も低減できるのです。
OS Dual Core NEO
古くからスポーツ走行向けの駆動系パーツを中心に手がけてきたOS技研の自信作。
イラスト中央のプレッシャーリングの左右ギアが、このモデルの特徴といえる斜めに歯を刻んだ「スパイラルギア」。
従来からのモデルに対しフリクションプレートの大径化や枚数を増やすことで長期間安定した性能を発揮します。
OS技研のWebサイトをCHECK！
↓
https://www.osgiken.co.jp/neo/CAMROAD.php
スパイラル形状のサイドギアによりオープンデフからデフロックに至る過程はもちろん、その逆も非常にスムーズに切り替わる。
運転しやすい環境をドライバーに与えてくれます。
左右の駆動差が生じるとプレート同士が圧着され、左右輪を直結する役割するのが内部に設けられたフリクションプレート。
マニュアル車のクラッチディスクのような働きをするパーツと、ご想像いただけるとイメージが伝わりやすいかもしれない。
なおこの製品では多くLSDのようにプレート面にミゾは刻まずオイルの粘性でロックさせる仕組みを採用。
これも作動音低減に大きく貢献するのです。
