【ワンボックス】雪道対策にLSDを装備しよう!【雪国ユーザー向け記事】

身動きがとれないほどの雪を、経験したことはありますか。

小学5年生の時に某テーマパークの年越しカウントダウンに行ったら死を覚悟するくらい寒くてそれ以来冬がニガテなギアハブ編集長です。

さて今回のテーマはこの季節にありがちな【雪道のトラブル回避術】としてのLSD装着。冬でもアウトドア、レジャーを楽しみたい東北・北陸・甲信越・北海道の方々には特にご一読いただきたい内容になっています。もちろん「普段あんま雪降らんけど、降られるとけっこう困る」そんな山陰・山陽地方や九州の方にもぜひ。

冬の日本はスタックのキケンだらけ

雪がほとんど降らないイギリス(イングランド)と毎年豪雪の北海道。実はほぼ同じ緯度だって知ってました(なんならロンドンの緯度は樺太より北)?それでも気候が全然違い、日本に四季があるのが良いところでも悩ましいところですよね。で、毎年のようにニュースになるとおり油断していると困ったことになるのが、そう雪道。雪が多い地方の方にとっては、1年の1/4~1/3が常にスタックの危険と隣り合わせのシーズン。

※スタックとは、雪道や砂地、ぬかるみなどに車のタイヤが埋まってしまい、動けなくなる現象のこと。

特にスキー場や冬山登山の人気スポットの周辺は冬季間は除雪されない場合がありますよね(したくてもしきれない)。特にスタックの危険度が高い場所は道幅が狭かったり、急勾配があったり、オフロードに近いシチュエーションな場合があったり、カーブが点在する峠道のような場所が多いのが特徴。またそれほど雪が積もっていなくても駆動輪が吹き溜まりに埋まりそのままスタックしちゃう、なんてこともしばしば。スタッドレスタイヤも意味をなさない場合もよくあります。このように対策をされていないクルマは意外なほど悪路に弱い乗り物なんですよね。

雪道に限らず、スタックの原因の多くはデフ

雪道に限らず、スタックの原因の多くはデフ(デファレンシャルギア)にあります。クルマに備わる通常のオープンデフとも呼ばれるこのデファレンシャルギアは、本来車をスムーズに曲げるための機構。エンジンの駆動力をタイヤに伝える時、左右のタイヤの回転数の差を吸収するために使用されるものです。ただこのデフには弱点があり、悪路や横風を受けたとき、ハンドルをとられたり、片輪が空転するという問題があります。タイヤが路面に接地できない状況に陥ると、浮いたタイヤにばかりを回転させ、肝心の接地しているタイヤには駆動力が伝わらなくなる特性があります。この特性が弱点となり、上記のような雪道やぬかるみでスタックしてしまうトラブルにつながります。結果、自分の力だけで脱出するのは困難になってしまいJAFを呼ばざるを得ない…となることも。いや、まだJAFが呼べる=電波が届くのならばいいのですが、山奥で電波状況が悪かったりすると絶望的な状況に陥りかねません。最悪の場合は命に関わる事態にもなってしまいます。

デフの弱点をカバーするのが、左右の回転差を制御するLSD。

LSDとはLimited Slip Differential(リミテッド・スリップ・デファレンシャル)の略称。前述したようにオープンデフではタイヤが浮いてしまう状況に陥るとクルマは推進力(トラクション性能)を失ってしまいます。読んで字のごとく、LSDはその差動を制限し、推進力を発揮させるデフ。オープンデフと異なり、LSDは片輪の荷重が抜けるとディファレンシャル機構がロックされ、浮いたタイヤの空転が制限され接地しているタイヤだけに駆動力を伝えられる、といった仕組みになっています。一般的にはサーキット走行・ドリフト走行・ドラッグレースなどのコーナリング時でなければ効果を体験できない装備と思われがちですが、悪路走破性を向上させる効果もあります。LSDを装着していれば、先に紹介したようなスタック体験でも車は失速せずに前に進み、自力で脱出できる可能性が高まります。

実際にLSDをハイエースにつけてみました

今回紹介しているOS技研のスーパーロックLSDのデュアルコアは「スパイラル形状」。この形状により、片輪の完全空転を感知してデフを制御し、駆動力をスムーズに引き出すことができ、左右の駆動輪が直結されるので、直進安定性が飛躍的に向上。雪道でも発進しやすく、コーナー等での走行性も安定するんですね。ハイエースやキャラバンは、レジャー・ビジネス用途問わず過酷な環境下で使用される機会が多い車種ですが、別段走行性能が優れているわけではないので、もし雪国での使用に懸念を持っているようならLSDを装備することも検討してみるといいかもしれませんね!