今こそ乗りたい! ちょいクラシックな名車たち5選【スポーツカー編】

先進技術の進歩が凄まじい現代の新型車。でも個性や味わいの面では、ちょっと古い年代の車にこそ魅力的な車が多いんです。
ただ、本格的にクラシックな車は維持するのが大変。そこで今回は唯一無二な魅力を放ちつつも日常ユースでも使いやすい、かつ中古車としても比較的手に入れやすい1990〜2000年代前半に登場した車をピックアップしてみました。

ちょいクラシックな車の魅力

バブル景気が弾けて間もない1990〜2000年代。その頃に生まれた車は当時最新の技術を追い求めつつも、地に足の付いた実力派揃いです。現代の新型車のような先進的運転支援技術や燃費向上技術こそ搭載されていませんが、エアバッグなどの標準化が進んだ時代で、安全性能はまずまずの水準。コンパクトさと軽さ、という車としてのソリッドな性能においてはむしろ有利です。

1980年代以前の年代にも魅力的な車種はたくさんありますが、今、維持しようとすると部品の調達で苦労することが珍しくありません。製造から40年以上経っていると、中古車市場で見つけるのも難しくなるのが通例です。

1990〜2000年代前半に生まれた車は個性的で、かつ中古車市場でも見つけやすい、まさに狙い目なのです。もちろん20〜30年前の車なのである程度のメインテナンスは必要ですが、常識的な範囲。きちんと整備していれば買い物や送迎にも十分使えます。日々のケアも含めたカーライフの楽しさを知るなら、1990〜2000年代前半に生まれた車は打ってつけの存在と言えるでしょう。

独断と偏見で選ぶ、ちょいクラシックな車5選【スポーツカー編】

魅力的な車がたくさん輩出された1990〜2000年代前半ですが、今、手に入れようと思うなら中古車市場での流通量が気になるところ。今回は比較的流通量が多めの車種をピックアップしました。

トヨタ スープラ(4代目・A80型)

製造期間:1993年5月~2002年8月

スープラ
海洋生物を思わせる流線型のフォルムもまたスープラの魅力

スープラと言えばBMWと共同開発された5代目が目下大人気ですが、実は四半世紀前に生まれた4代目こそ“スープラらしい”と言えるモデルです。3L 直列6気筒ガソリンエンジンを縦に収めるフロントノーズは現代の車に比べると異様に長く、いかにもスポーツカーといった風情。独ゲトラグ社製の6速マニュアルトランスミッション(4速AT車の設定もあり)を搭載したことでも話題になりました。

現在の中古車市場にはおよそ50台が流通。決して多くはありませんが、大切に扱われてきた物件が多い印象です。ただ、人気車種だけあって相場は500万円台中盤とかなり高め。本格的に整備&カスタムする前提で、安めの物件(と言っても300万円台前半)を狙うのも一案でしょう。

スープラ内装
国産スポーツカーなのに、なぜかATも似合っちゃうグランドツーリングカーとしての素質もスープラは持ち合わせていた

トヨタ MR-S(初代・ZZW30型))

製造期間:1999年10月~2007年4月

MR特有の短いフロントノーズと長めのリアセクションがMR-Sの個性

MR-Sなんて最近の車じゃないの? と昭和世代の人は思うかもしれませんが、登場したのは1999年。立派な“ちょいクラシック”です。マツダ ロードスターに対抗するトヨタのライトウェイトスポーツカーとして誕生。エンジンをミッドシップに搭載し、後輪を駆動する、国産車では珍しいMR駆動方式を採用していました。

車両重量1000kg前後という軽量ボディから生み出される運動性能は、まさにゴーカートフィーリング。2シーターのオープンボディというのもMR-Sの魅力です。国産車では初採用となる「シーケンシャル・マニュアルトランスミッション」を搭載していたのも特長でした。

現在の中古車市場における流通量は200台以上。中古車相場も100万円前後と比較的お買い得です。

MR-S 内装
シーケンシャルマニュアルトランミッションのダイレクト感、地を這うような運転感覚は独特

日産 スカイラインGT-R(5代目・BNR34型)

製造期間:1999年1月~2002年8月

スカイリアンGT-R
4WDでなければ実現できない豪快な走りこそスカイラインGT-Rの本懐

「スカイラインGT-R」という車名では最終モデルとなった5代目(6代目はスカイラインなしの「GT-R」)。映画「ワイルドスピード」に登場したことでも一躍人気となりました。

従来型4代目で肥大化してしまった反省を活かし、ホイールベースを55 mm、全長を75 mm縮小。前後重量配分、空力性能も大幅に改善され、スポーツカーとしての性能を一気に向上させています。

名機の誉れ高い2.6L直列6気筒ガソリン・ツインターボエンジンのRB26DETT型を搭載している点でも希少価値の高い一台。あり余るパワーとトルクを、進化したアテーサ(日産のフルタイム4WD機構)で力強く路面に伝える走りはまさに唯一無二のものでしょう。

現在の中古車市場には200台以上が流通していますが、平均価格はなんと2000万円オーバー! 価格も含めて国産スパーカーの代表と言えそうです。

スカイラインGT-R内装
内装はスカイラインの一員としてセダンなどに準じた大人しいデザインだった。ただしメーターの表記などはGT-R専用

ホンダ S2000(初代)

製造期間:1999年4月~2009年6月

S2000
軽快さと剛性感を巧みにバランスさせた操縦性の良さがS2000の持ち味

ホンダ車としてはごく珍しいエンジン縦置き、FR駆動方式を採用するオープン2シーターがS2000です。オープンカーの弱点であるボディ剛性を克服するために「ハイXボーンフレーム構造」を採用。軽量でコントローラブルな運動特性は当時、高く評価されました。

2L自然吸気ガソリンエンジンであるにもかかわらず、最高出力250PS/8,300rpm(2005年1月以降のモデルは242PS/7,800rpm)を発生するパワフルさもS2000の魅力でした。電動ソフトトップの開閉時間はなんと6秒。気軽にオープンモータリングが楽しめます。

コアな車好きからは高く評価されていたS2000ですが、国内販売台数は約10年間で2万台ほど。かなり少ない数字ですが、現在の中古車市場には300台以上が流通しています。最終年式は2009年なので、比較的コンディションの良い物件を見つけることも可能でしょう。ただし、中古車平均価格は300万円台後半と、当時の新車価格とほぼ同じ。現代では希少な国産オープン2シーターゆえ、仕方ないところかもしれません。

S2000内装
ボディ剛性を高めるため、センタートンネルは敢えて大きく設計された

マツダ RX-7(3代目・FD3S型)

製造期間:1991年12月~2002年8月

RX-7
今みても全く色褪せない、完成された外観は空力特性にも優れていた

ロータリーエンジンを搭載するマツダ製ピュアスポーツと聞いて、誰もが思い浮かべる車と言えばRX-7でしょう。1991年の登場時には「アンフィニ・RX-7」の名前でしたが、1997年10月以降は「マツダ RX-7」と名称変更されました。

その魅力は何と言っても、13B型ロータリーエンジン特有の胸がすく加速フィーリング。排気量は僅か1.3Lしかありませんが、高回転まで気持ち良く吹け上がってくれます。マイナーチェンジごとにエンジンが改良され、1999年1月以降のモデルでは最高出力280 PS/6500 rpm(タイプR、タイプRS)にまで動力性能が高められました。車体サイズの割りに軽量化されたボディ、FR駆動らしい軽快な運動性能、四輪ダブルウィッシュボーンサスペンション採用による接地性の良さも魅力です。

現在の中古車市場にはアンフィニ時代を含めて200台弱の3代目RX-7が流通。相場は300万円台後半〜400万円台後半と新車のスポーツカーが狙える価格帯ですが、他に換えられる車がないだけに人気が高いのも納得です。

RX-7内装
内装はドライバーオリエンテッドなデザインで、スポーツカーに乗っていることを実感できる