機械式LSDの手引き! デフとの違いや効果、選び方や購入方法までを解説

機械式LSDの手引き! デフとの違いや効果、選び方や購入方法までを解説

  • 2021年8月25日
  • LSD
機械式LSDの手引き! デフとの違いや効果、選び方や購入方法までを解説

機械式LSDを装着を検討している初心者に向けて、車両や用途別の効果や選び方、購入方法などを解説します。

クルマの駆動系部品であるLSDは、正しい知識をもって扱わなければ大きな事故に繋がる恐れがある重要な部品です。

LSDとデフの違いや、取り付けに関連する疑問まで、機械式LSDを安全に使ううえで欠かせない情報をまとめました。

LSDとは? よくいうデフとは違う?

LSDとは? よくいうデフとは違う?

デフとは、デファレンシャルの略称であり、トランスミッションから伝わる動力を左右輪に分割するための装置全体を指します。

それに対し、LSDとはリミテッド・スリップ・デファレンシャルの略称で、デフケース内に収められたデフの機能を制限するための内部装置です。

LSDをデフと呼ぶのはあくまで俗称であり、正確な表現ではありません。

オープンデフは差動装置 LSDは差動制限装置

クルマは曲がる際に左右輪が異なる半径を描くため、左右輪が同じ早さで回転しては曲がりにくくなります。

複数の歯車を組み合わせた構造のデフは、内輪の低めた回転数を外輪に移すことでスムーズな旋回を助ける装置です。

この動作を差動といい、LSDが組み込まれていないデフはオープンデフまたは差動装置と呼ばれます。

しかし、駆動輪のいずれかがスリップしたりすると、オープンデフは空転するタイヤにばかり駆動力を伝えてしまいクルマは前に進めません。

このデメリットを解消するための装置がLSDです。LSDは通常時は差動装置として機能し、必要なときにだけ差動制限ができる仕組みです。

機械式LSDでオープンデフの欠点解消!

機械式LSDでオープンデフの欠点解消!

LSDにはビスカス式やヘリカル式、トルセン式などいくつか種類があるものの、アフターパーツとして販売されているLSDはそのほとんどが機械式です。

機械式LSDは、ゆっくり大きく曲がる際にはオープンデフと同様に機能し、左右輪に回転差が乗じたときにだけクラッチ板を介して強固にロックすることで左右のタイヤを同期回転させます。

そのため、内輪が浮いたり滑ったりしても、接地している外側のタイヤだけで加速できるようになります。

また、アクセルオンでのみ動作する1Wayや、フットブレーキ・エンジンブレーキ時にも動作する2Way、1Wayと2Wayの中間的な特性の1.5Wayなどを選ぶことができ、車両や走行にあわせて特性を自在に変更できるのも機械式LSDの特徴です。

どんなシーンで役立つ?

機械式LSDが活躍するシーンを具体的に解説していきます。

サーキット走行のタイムアップに

クルマは曲がる際に車体が外側に傾くため、高速走行をするサーキットでは内側タイヤの接地力が低下してスリップを起こしやすくなります。

機械式LSDを装着することで不必要なタイヤの空転を抑え、縁石に乗って跳ねた際にも接地しているタイヤを使って加速ができるようになります。

ジムカーナにも効果的

ジムカーナのように小さく曲がる際にも車体が大きく傾くため、内輪に駆動力が伝わりづらくなり加速ができなくなります。

機械式LSDを装着することで、回頭性が向上したり、タイヤの性能をより有効に使えるようになります。

ドリフト走行に機械式LSDは必須

オープンデフでは内輪ばかりが回転して、横には滑るものの、前に進むドリフトはできません。

機械式LSDを装着しなければアクセルオンでの正確なドリフトコントロールは不可能といってもよいでしょう。

ドラッグレースでもデフは重要

オープンデフでドラッグレースのようなスタートをすると、路面とタイヤの微妙なグリップ差によって車体が左右どちらかにふらつきます。

機械式LSDを装着することでクルマのふらつきが抑えられ、よりアクセルペダルを踏み込めるようになります。

ラリーやオフロード走行でのスタック防止にも

オープンデフで滑りやすい雪・砂利・泥・砂・土の上を走行すると、スリップするタイヤにばかり駆動力が伝達され、前へ進めなくなってしまいます。

その状態で停止すると、身動きが取れなくなるスタック状態に陥るのは必至です。機械式LSDはスタックも防止します。

デフの位置や車両によっても効果が違う!

デフの位置や車両によっても効果が違う!

LSDはフロントに装着するかリアに装着するかで、以下の表のようにメリットとデメリットが変わります。

またクルマの用途や形状によっては、さらに高い効果をもたらす場合もあります。駆動方式や車種ごとに違う機械式LSD効果を解説していきます。

デフの位置 機械式LSDのメリット 機械式LSDのデメリット
フロントデフ 回頭性アップ ハンドルが重くなる
リアデフ 直進安定性アップ 曲がりづらくなる

FF車は旋回性能向上

FF車(前輪駆動車)のフロントデフにLSDを装着すると、ハンドルを切った方向へクルマが進むようになるため、加速しながらでも小さく旋回できるようになります。

ただし、走行状態によってハンドルの重さが極端に変わるトルクステアが起こったり、強くハンドルが直進状態に戻るキックバックが起こるデメリットがあります。

FR車はリアタイヤを安定して使える

駆動輪のリアが軽いFR車(後輪駆動車)は、操作によってタイヤの接地圧が変動しやすいため、車体が不安定になりがちです。

FR車にLSDを装着すると、空転が起こる状況でも安定して前に進めるようになる一方、後輪によって押し出される力が強くなり、曲がりにくくなる傾向にあります。

気難しいMR車のコントロールがしやすくなる

エンジン重量で駆動輪を押さえつけるMR車(ミッドシップエンジン・後輪駆動車)はスリップを起こしにくいものの、重量物が後方にあるため、タイヤの性能限界を超えると一気に不安定な状態に陥りがちです。

MR車にLSDを装着するとFR車と同様に曲がりにくくはなりますが、リアタイヤの性能限界付近でのコントロール性が増します。

4WD車は好みの動きに調整できる

すべてのタイヤが駆動する4WD車(四輪駆動車)は前後にデフが備わるため、リアデフを機械式LSDにすればFR車のようなドリフト走行ができたり、フロントデフを変えればFF車のように鋭い旋回ができるようになります。

センターデフとの兼ね合いや前後デフの調整によって、操作特性を変えられるのが4WD車の特徴です。

ジムニーなどのSUVは悪路走破性がさらに向上

ラリーやオフロード走行にもLSDは必須の装備です。

オフロード走行を前提につくられたSUVにはスイッチ操作でロック状態にできるデフロック機能が標準で備わっている場合がありますが、センターデフとリアデフにしかデフロックが装着されていない車もあります。

そういった車はフロントに機械式LSDを装着すればさらに走破性能がアップ。

リアデフもLSDに変えればアクセル操作だけでデフのロック状態を制御できるようになります。

ハイエースやキャラバンは運転疲労軽減効果も

重心が高い1BOXタイプのバンはカーブでの車体の傾き量が大きく、通常走行でもタイヤが浮き気味になることが多々あります。

また高速道路で横風に煽られた際にも同じような状況に陥りがちです。LSDを装着すると直進安定性が増し、クルマが真っすぐ進むようになるため運転疲労軽減にも効果的です。

取り付けできるのはMT車だけ? AT車は?

取り付けできるのはMT車だけ? AT車は?

機械式LSDは、MT車はもちろんAT車(オートマチック車)にも装着できます。

ただし、機械式LSDの動作時にはクラッチ板から摩耗粉が発生するため、トランスミッションとデフが一体化したFFやMRなどのトルコン式AT車やCVT車は、変速動作異常の懸念から取り付けできない場合があります。

取り付けできる具体的な車種およびトランスミッション形式は、各LSDメーカーごとの適合表に記載されているため、事前に確認をしておきましょう。

機械式LSDのデメリット

機械式LSDには多くのメリットがある一方、デメリットも少なからずあります。装着するなら必ず知っておく必要がある機械式LSDのデメリットを解説します。

街乗りがしにくくなる

機械式LSDはセッティングによって低速走行時にバキバキという振動をともなったチャタリング音が発生します。

また、不必要なときにもLSDが効き出し、車庫入れなどで小回りがしづらくなったり、タイヤが空転する場合があります。

デフオイル交換や分解整備などの維持費が増える

機械式LSDの性能を維持するためには、頻繁なデフオイルの交換と定期的な分解整備が必要であり、オープンデフとは比べ物にならないほどメンテナンスコストがかかります。

オイル交換時期は3,000〜5,000kmごと。分解整備は、競技で使用する場合は最低年1回、街乗り主体の使い方ならおおよそ3万kmごとに分解整備が必要です。

どのメーカーの商品がおすすめ?

どのメーカーの商品がおすすめ?

機械式LSDは多くのメーカーから販売されており、メーカー選びには頭を悩ませます。まずは、社外品と純正品とを選び分けましょう。

OS技研などの社外機械式LSD

LSDの基本構造はどのメーカーも似通っているものの、それぞれ独自の特徴があります。

カーボンクラッチを採用することで滑らかなロックと摩耗粉の発生を抑えたLSDや、独自の機構や製造方法を用いて動作精度や機械強度を増したLSDなどメーカーによって多種多様です。

街乗りとサーキット走行を併用する車両であればOS技研をおすすめします。

OS技研のスーパーロックLSDは競技での過酷な走行環境でもしっかりとロックする高い性能を備えながら、他メーカーよりも劣化が少なくオイル交換や分解整備などのメンテナンス費用を抑えられる人気商品。

少々高い購入価格を除けば、長期的なコストパフォーマンスにもっとも優れるのがOS技研のLSDです。

トヨタ・日産などの自動車メーカー純正機械式LSD

自動車メーカーの純正の機械式LSDを選ぶメリットは、メーカーの商品保証や整備保証が付く点です。

ただし、競技用部品として保証が付かないと明言しているメーカーもあるため事前の確認が必要です。

トヨタ車であればTRD、日産車であればNISMO(ニスモ)などのメーカー直轄のチューニングパーツメーカーの機械式LSDを装着しましょう。なかには、LSDメーカーと共同で開発された商品もあります

どこで購入・取り付けすればいい?

機械式LSDの効果を最大限に発揮させるには、車種や走行場所に合わせた動作Wayの選び方に加え、正しい取り付けと微調整が欠かせません。

そのため、一般整備工場やカー用品店では、発注はできても取付作業を断られる場合があります。

機械式LSDは購入手続きから取り付けまで、専門的な知識と技術を持つ整備工場やチューニングショップに一貫して依頼することをおすすめします。

純正の機械式LSDなら、ディーラーのなかでもスポーツカスタマイズに重点を置いた店舗にお願いするのがベターです。

トヨタ車ならTRDファクトリーやGR Garage、日産車ならニスモパフォーマンスセンターなどに依頼しましょう。

社外の機械式LSDであれば、装着するLSDメーカーの正規代理店を選ぶのが最低条件です。OS技研では正規取扱店であるテクニカルショップが全国に点在しています。

テクニカルショップは、OS技研のLSDについての知識と技術を有しているプロショップであるため、購入から取り付け、メンテナンスまでを安心して任せることができます。