機械式LSDの熱管理をサポート! LSDを取付けるなら車の熱耐性に注目

機械式LSDの熱管理をサポート! LSDを取付けるなら車の熱耐性に注目

  • 2021年9月17日
  • LSD
機械式LSDの熱管理をサポート! LSDを取付けるなら車の熱耐性に注目

機械式LSD使用時に注目すべきはデフの温度。機械式LSDはその他のLSDに比べて発熱しやすく、徹底した熱管理と高い熱耐性が求められます。

こちらの記事では車を壊さず、限られた時間でより多くサーキットを周回できるように、デフの熱管理方法と熱耐性を高めるためのサポート情報をお伝えしていきます。

機械式LSD搭載車は熱管理が重要

車が走行するとデフの温度も上昇します。通常走行では問題ありませんが、エンジンや路面から大きな入力があるサーキットでのスポーツ走行となると話は別です。

とくにクラッチの摩擦によって動作する機械式LSDは、LSD自体が発熱してデフの温度を大きく引き上げます。

過熱した状態が続くとデフが壊れる場合もあるため、初めて機械式LSDを装着したらサーキットを利用する前に、こちらの記事を参考にして適切な温度管理方法と熱耐性を高める方法を身につけておきましょう。

機械式LSD用オイルの粘度と熱耐性の関連

機械式LSD用オイルの粘度と熱耐性の関連

後輪駆動車のノーマルデフオイルは粘度75W-90が用いられるのに対して、機械式LSD搭載車は高温時でも潤滑性を保つために85W-140など非常に硬いオイルが用いられます。

90や140の数字が高温時の粘度を指し、こちらの数値が高いほど熱耐性に優れるオイルです。

油温が上がるほどオイルの性能は低下し、140℃以上になると潤滑性はほぼ失わてしまいます。

デフオイルの温度は、高速道路の走行でLSDの有無に限らず100℃前後、機械式LSD装着車でサーキットで周回を重ねると200℃を超える場合もあります。

140℃を超えてもすぐにデフが壊れることはありませんが、故障のリスクは増大します。デフ温度の管理とは油温管理と言い換えてもいいでしょう。

スポーツ走行で発熱!車はどうなる

オイルが過熱して性能が失われれば、ギアの異常摩耗や焼付きが起こる場合があります。

また、カーボンLSDは140℃を超えると内部のカーボンチップが剥離して、故障の原因になります。

また、車種によってはボルトが緩み、走行不能に陥る事例などもあるため、そういった傾向の車は熱耐性の強化が急務とえいます。

LSDの効きも変わる

デフの温度が高まるとLSDの特性も変化します。

ギアを用いたヘリカルLSDやトルセンLSD(トルセンおよびtorsenは株式会社ジェイテクトの商標登録)は変化量が少ないものの、ビスカスLSDや機械式LSDは内部に組込みされたクラッチが熱膨張を起こして効きが強くなる場合があります。

とくに機械式LSDは、発熱によってクラッチプレート間の隙間が減少し、イニシャルトルクを強めた状態に近づきます。

そのため機械式LSDをベストな状態で使うには、使用温度帯を定めた調整が欠かせません。

各種駆動方式別・熱耐性の特徴

各種駆動方式別・熱耐性の特徴

どの駆動方式の車であっても、デフは単体デフとトランスアクスルの2つに大分され、それぞれ熱耐性への考え方も異なります。各種駆動方式ごとの熱耐性に関連する情報をこちらで解説します。

FR車など

FR車(後輪駆動車)などデフが単体で搭載される車は、熱耐性に優れた硬いオイルを使用できますが、それでも本格的なサーキット走行には不十分。

とくに最近の車はデフオイルの量が1L前後と少ないため、温度上昇しやすい傾向にあります。また、絶えず機械式LSDが動作するドリフト走行もデフの温度が上がりがちです。

FF車など

FF車(前輪駆動車)に代表される、デフと変速機が一体化したトランスアクスル搭載車のオイル量は、2〜3Lであるため温度上昇は比較的穏やかです。

しかし、変速機の潤滑も兼ねているため、熱耐性に劣る低い粘度のオイルを使わなくてはいけません。

危険域まで油温が上昇するとシフトフィールが悪化し、そのまま使うとギアやシンクロの摩耗を促進させます。

車種によっては、高粘度オイルを入れると循環不良を起こして壊れる事例もあり、対策が難しい傾向にあります。

車の熱耐性を上げる方法はこちら

機械式LSDの管理は、まず油温を知ることが重要です。

それから熱耐性を高めるための各種パーツの追加を検討しましょう。

効果 パーツ 参考価格
温度把握 サーモシール 4,000円〜
温度把握 油温計 15,000円〜
冷却性能強化 大容量デフケース 40,000円〜
冷却性能強化 空冷式オイルクーラー 80,000円〜
オイルの熱耐性強化 100%化学合成油 4,000円〜/1L

油温の把握方法はこちら

油温の把握方法はこちら

油温が140℃を超えそうになったらクーリング走行でデフや変速機をさましてやる必要があります。

しかし、クーリング走行をするタイミングを決めるためはデフの温度を把握しておかなくてはなりません。

デフの温度を知るためのパーツはサーモシールと油温計の2つです。最高温度を記録できるサーモシールをデフに貼り付けて観察すれば、どれくらいの周回数でクーリング走行をすべきか判断できます。

しかし、デフの温度は外気温やラップタイムなどでも変動するため、本格的なスポーツ走行をするなら常時監視できる油温計の装着がベストです。

熱耐性の強化パーツはこちら

デフの熱耐性を強化するもっとも効果的なパーツは空冷式オイルクーラー。オイルクーラーはオイル量を増やすと同時に、走行速度が上がるほどオイルを冷却できるパーツです。

ただし、過大なオイルクーラーの取付けは過剰冷却になるため、車種に見合ったサイズを注文・購入するようにしましょう。汎用品のオイルクーラーなら中古でも手に入ります。

その他、社外品や純正流用品など大容量デフケースへの交換でオイル量を増やし、温度上昇を穏やかにする方法もあります。さまざまな熱耐性を高める方法があるため、車や温度に応じた手段を検討しましょう。

熱耐性に優れた機械式LSD用オイルはこちら

オイルによっても熱耐性が変わります。記事前半でお伝えしたように、粘度が高いオイルほど熱耐性に優れたオイルと言えます。

しかし、トランスアクスル搭載車は高粘度オイルが使えません。そういった場合には、同じ粘度でも組成自体の熱耐性が高められた化学合成油を使いましょう。

機械式LSD用オイルの多くは部分合成油ですが、100%化学合成油に変えることでさらに熱耐性を高められます。

ただし、LSDメーカーによってはオイルが指定されている場合もある点には注意しましょう。

記事のまとめ

機械式LSDを壊さず、安定動作させるためには温度管理と熱耐性の強化が必須です。周回数によって機械式LSDの効き具合が変化したり、FF車のシフトフィール悪化などのさまざまな不具合はデフの温度も関連しています。

初めて機械式LSDを装着したら、まずはデフの温度を把握し、必要に応じて熱耐性を高めましょう。

温度上昇を抑えれば、故障リスク低減やラップタイムの安定化に加え、クーリング走行に費やす時間を減らせます。

熱耐性を高めることは、車を壊さないようにするだけでなく運転技術向上にもつながります。こちらの記事を参考にして機械式LSDを使いこなしてください。