前章でエンジンオイルの選び方についてグレードと粘度の観点から

あなたのクルマ(オートバイ)に適したオイル選びについて書きました。

今回は同じオイル(油)なのになぜグレードや粘度が違うのか?について

簡単にお伝えしようと思います。

オイルって実は非常に奥が深くて知れば知るほど沼ってしまう興味深いモノなので

基礎編として・・・

 

また、奥が深いだけに色々なご意見もあるかと思いますが、あくまでも筆者の一見解であることを

ご了承下さい。

さて、一般的に売られているエンジンオイルはグレードと粘度が多種存在することが前章でご理解

頂けたと思いますが、ではその違いは何なのか?

答えから書くと、ベースオイル(基油)にそれぞれの役割を持つ添加剤を混ぜて、その配合の違いで

多様な環境下でのエンジン内部の「潤滑・密封・冷却・洗浄・防錆」作用を担っています。

一般的にベースオイル(基油)約70%添加剤30%の割合で配合されており、ベースオイル(基油)の素質と

添加剤の配合割合でグレードや粘度が概ね決まります。

ベースオイルの素質と書きましたが、これがオイル選びを難しくしてしまう要因の一つなのですが

実はベースオイルにも基準がありⅠ~Ⅴまでの割と厳格な内容のグループ分けが定められています。

オイルメーカー各社の売りにもなっている「化学合成油」や「部分合成油」などの表記の基準でもある

グループにおいて簡単にご説明をします。

 

グループⅠ【基油成分:鉱物油】

原油から分留精製されたミネラルオイル。ペンシルバニア産(パラフィン系)、中東産(ナフテン系)など原産地に左右される

要因が大きい。硫黄分などの不純物も多く、一定の温度を超えると急激に性状変化が起こり熱劣化にも弱い為、粘度低下や

スラッジの発生など耐久性が低いが、安価で製造できるというメリットは随一。

グループⅡ【基油成分:HVI】

グループⅠの鉱物油をニッケル触媒等で水素化精製し、酸化劣化を引き起こす不純物が取り除かれた鉱物油。

ハイドロクラッキングオイルや高度精製鉱物油とも表記される。

精製技術の進歩によりグループⅢの生産が安定して行えるようになったことから現在流通量は減少傾向です。

グループⅢ【基油成分:EVHI,VHVI】

グループⅡより科学合成回数を増やし分子操作を行う事により粘度指数や温度安定度が高く

鉱物油でありながらVHVI(Very High Viscosity Index=とても粘度指数が高い)、より粘度指数の高い

EVHI(Extra Very High Viscosity Index=特別に粘度指数が高い)と性能が化学合成油に匹敵することから

メーカーの判断で合成油として表記が認められるようになりました。

余談ですが、GⅢには更に高性能な、GⅢ+とGⅢ++があり、

GⅢ+は、粘度指数が140以上のものとし、これはGⅣ(PAO)にも匹敵する高さです。

GⅢ++は、天然ガスから作られる「GTL基油」を使用したものが対象で、不純物がとても少ないのが特徴です。

グループⅣ【基油成分:PAO】

ポリ・アルファ・オレフィンを略してパオ。表記素性共に科学合成油と呼べる物で熱安定性や分子の揃い方などの

バランスが良く加水分解に強いがPAOのみでの潤滑性は低く後述のエステルやグループⅢ以上のオイルを適宜ブレンド

された物が多く流通している。

◎耐久性があり、扱いやすいオイル 熱に強く、酸化安定性が高く劣化しにくい。

◎粘度指数が高く熱に強い 粘度指数が120~140以上(鉱物油は100前後)と高く、幅広い粘度のオイルを製造できる。

上位グレードの「mPAO」になると粘度指数が200を超え、300を超えるものあります。

◎引火点が高く蒸発しにくい エンジンオイルが減りにくいので、トラブルのリスクを下げられる。

◎低温流動性は鉱物油の約3倍 鉱物油の低温流動性が-20℃ほどに対し、PAOは-60℃まで使用可能。低温でも柔らかく安心して使用ができる

◎添加剤の効果を邪魔しない 添加剤との相性がよく添加効果が高く安定しています。

▼シール類への攻撃性がある シールを収縮させてしまう性質があり、一時期は旧車には不向きとされていたが

現在は添加剤などで補完可能になっている。

▼潤滑性を持たない 摩擦特性は鉱物油以上にありますので、添加剤で補完。

グループⅤ【基油成分:エステル・植物油系・その他グループⅠ~Ⅳに属さないオイル】

エステルが主流とされているがエステルの種類は多岐に渡り、その配合が良し悪しを決めるとも言われている。

◎植物油エステル、合成エステル 植物油として有名な「ひまし油」もエステルの一種。極性を持ち金属と馴染みやすく潤滑効果がとても高いのが特徴。

現在では、炭化水素系エステルが主に使用される。コンプレックスエステル、ポリオールエステル、ジエステル、モノエステル等。

▲添加剤として使用されることが多い 潤滑力は抜群だが劣化がとても早い「植物油」。酸化安定性などを向上させる「アルキルナフタレン」も粘度が低いことが欠点。

これらは単品では使いづらい性能がありますが、他のオイルに添加剤として使用され長所を活かされています。

◎潤滑性能を持っている 摩擦係数が低いため、レスポンスや出力の向上に効果があります。

◎油膜強度が高い 金属表面に吸着するため、油膜強度、保持能力がPAOよりも数倍高く過酷な状況でも耐えてくれます。

◎添加剤の働きを阻害する 一部エステルは添加剤の効果を阻害してしまうものもあります。

▼シール類への攻撃性がある シールを膨張させてしまう性質があります。

まだまだ書ききれないほど

奥が深いです・・・・

一般的にチューニングや特殊な条件下で使用されない場合は、車両の取り扱い説明書のサービスデーター欄に推奨(一部指定)オイルが記載されています、最近のクルマ(オートバイ)は水温計や油温計が無く異常時ランプしか付いていない車両が多くエンジンの状態がリアルタイムに分かる車種が減っています、グループⅤの最上級が良いではなく、配合される添加剤によってはかえって不具合を招く場合もありますので、自車のエンジンの適性に合うものを選ばれることをお勧めします。

 

次回からはギアオイルとオイルとフルードについて

取り上げたいと思います。