タイヤサイズの選びかた【乗用車編】
車において地面と接する唯一のパーツであるタイヤ。消耗品なので、磨り減ったら交換しなくてはなりません。
純正とは違うサイズにしてみたい、インチアップしてみたい、というドライバーは多いことでしょう。
しかし、タイヤサイズの見方がよく分からない、という方は少なくないかもしれません。今回はそんなタイヤのサイズについて解説します。
タイヤ交換はじめの一歩は純正サイズを把握すること
タイヤを交換しよう、と思ったら、まず行うべきことは純正タイヤサイズの確認です。純正タイヤサイズが分からなければ、欲しい銘柄にそのサイズがあるかどうか、どのくらいまでサイズアップできるのかも確認できないからです。
タイヤサイズは、「サイドウォール」と呼ばれるタイヤ側面の部分に記載されています。「225/45R18」のように、数字とアルファベットで表示されているものがソレです。
それでは例を挙げてタイヤサイズの見方を解説していきましょう。一般的な乗用車のタイヤは、以下のようなルールで表示されます。
各項目について見ていきましょう。
①タイヤ幅の呼称(mm)
タイヤの断面幅(タイヤの総幅からサイドウォールの模様や文字を除いた幅)をmm(5mm単位)で表したものです。同じタイヤ幅の表記でも、実際の寸法はメーカーや製品によって微妙に異なっており、あくまで目安。購入の際には必ず、カタログ寸法で確認しましょう。
②扁平率
断面高さ(mm)を断面幅(mm)で割ったものに、100を掛けた数値(5単位)です。たとえば断面幅が225mmで断面高さが101mmなら、101÷225×100=45で扁平率45となります。
③ラジアル構造であることを表す記号
ラジアル構造とは、タイヤの骨格とも言える繊維「カーカス」がタイヤの中心から放射状に配置され、それをベルトで締めている構造のタイヤを指します。現代の乗用車用タイヤはほとんどがこの構造です。
④リム径の呼称(インチ)
タイヤ内側の空洞になっている部分の径(内径)をインチで表したものです。装着できるホイールのサイズに対応します。
⑤ロードインデックス
タイヤに負荷することが許される最大質量を表す指数です。62〜121 までの数値で表され、それぞれ最大負荷能力が決められています。たとえば「95」の場合は最大負荷能力690kgです。
⑥速度記号または速度カテゴリー
⑤のロードインデックスを負荷された状況下で走行可能な最高速度を記号で表したものです。各記号の最高速度は下記のとおりです。
タイヤサイズの選び方
タイヤを選ぶときには、タイヤが車体からはみ出さないサイズであること、タイヤを切ったり、サスペンションが伸び縮みしたりしてもホイールハウスなどに干渉しないサイズであることが大前提です。日本の道交法では車体から回転するもの(タイヤ&ホイール)がはみ出すことを禁じられており、違反すると整備不良で罰則を科せられます。もちろん車検にも通りません。
純正タイヤと同じサイズにしておけば、ほぼ間違いありません。ただしサイズ表記はメーカーや製品によって異なるため、正確には製品のカタログ数値を参照しましょう。
タイヤサイズを変えてもOK?
はみ出したり干渉したりしない範囲内であれば、タイヤサイズを変更しても問題ありません。見栄えを良くするため、タイヤサイズを大きくしてフェンダーとの隙間を少なくする、ワイド化して迫力あるルックスにするカスタマイズは定番中の定番です。
ただし、注意しておきたい点がいくつかあります。ひとつは、タイヤ外径が変わるとメーターに表示される数字が実際とは違ってしまうこと。メーターに表示される速度や距離は純正タイヤの外径を元に計算されているので、外径を変更するとその分だけ数字がズレてしまうのです。特に大径化した際には、実際の速度よりも低い速度で表示されるため、スピード違反とならないよう、また車検時のチェック(40km/h走行時の誤差を測定します)でNGとならないよう、注意が必要です。
タイヤサイズを変えると、ハンドリングや乗り心地に影響が出ることも理解しておきましょう。特に大径化またはワイド化したときには多くの場合、純正タイヤよりも重くなり、バネ下重量(サスペンションよりも下にある構造物の重量)が増すために、一般的にハンドリングや乗り心地は悪化します。
その一方で、大径化、ワイド化することによりタイヤの接地面積は増えるので、トラクション性能(駆動力を路面に伝える力)やグリップ性能(コーナリング時の摩擦力)は増す場合があります。重量との兼ね合いがあるので一概には言えませんが、タイヤをワイド化してグリップ力を高めるカスタマイズは、スポーツ走行において極めて有効とされています。
どの程度までサイズアップ可能?
タイヤサイズをどの程度まで大きくできるかは、車種によって大きく異なります。オフロード四駆のようにホイールハウスに大きな余裕がある車種なら、純正タイヤよりもかなり大きなサイズまで許容しますが、乗用車に採用例の多いマクファーソン・ストラット式サスペンションなどはタイヤ直上にスプリングの受け皿があり、ほとんどサイズアップできない車種もあります。
サスペンションのストローク量や構造物の配置によっても許容サイズは異なるので、サイズアップを検討している方は専門店のスタッフに相談する、あるいは同車種に乗っているユーザーの意見を参考にしてサイズを選びましょう。
インチアップとは?
インチアップは、タイヤ外径を変えずにリム径を大きくする、つまりホイールを大径化するカスタマイズを指します。外径は同じまま内径を大きくするのですから、タイヤの扁平率は当然低くなります。デザイン性の高いホイールの面積が大きくなることで、見た目の印象がガラッと変化。こちらも大径化、ワイド化と並んで人気のカスタマイズです。
ただ、たわんで路面からの衝撃を緩和する役割をもつタイヤのサイドウォールが低くなるため、乗り心地は悪化します。また轍などにステアリングを取られやすくなる傾向もあります。インチアップは外見向上の効果テキメンなカスタマイズですが、弊害もあることは理解しておきましょう。