2023年4月25日午後4時前、岐阜県恵那市で敷地内に止めたワンボックスカーが、ぬかるみにはまったことでロードサービスを要請。しかし、ウインチで牽かれていた際に転落、運転席に乗っていた会社員の男性が亡くなる、という大変いたましい事故がありました。亡くなられた方には心よりお悔やみ申し上げます。

事故原因などの詳細はまだ明らかにされていませんが、今回の事故をきっかけに、車で山や林道、オフロードに出かけたときに注意すべきことについて改めて考えてみたいと思います。

事故はレスキュー作業中に発生

報道によると、ロードサービスの車に牽かれていたワンボックスカーは助手席を上にした状態で川に転落しており、運転席にいた方の死亡がその場で確認された……とのこと。現場は亡くなられた方の親戚の家で、敷地内に止めた車がぬかるみにはまり、ロードサービスに救援を要請。救出作業中の事故だったということです。現場は川に向かって下っており、川の水位は30cmほどだったとのこと。現在、警察は事故原因を調べていますが、詳報はまだ入ってきていません。

報道の写真ではロードサービスカーからウインチのワイアーが伸びていますが、被牽引車両にはかかっていないように見えます。またロードサービスカーは岩に衝突して止まったようにも見えます。このことから推測すると、牽引中に被牽引車両が下り坂を滑落、ロードサービスカーを引きずりながら川に転落、その勢いでワイアーが切れた、あるいはフックが外れた可能性があります。いずれにしても、なぜ被牽引車両が川に転落したのか、なぜ被牽引車両に人が乗っていたのかは不明です。ただ作業していたのはレスキューのプロ。何かしら不測の事態が起きた可能性が高いと考えられます。

ウインチ
ウインチはスタックした車を牽き上げるために装着するパーツ。ロードサービスの車にも装着されていることが多い

自然の中に出かけるときの注意点

憶測でものを言うのは避けるべきですが、ここでは一般論として、山や林道、オフロードで不意の事故を避けるため、特に注意したいポイントを挙げてみます。

■水場の近くや、ぬかるんだ場所に車を止めないこと

林道などの未舗装路はただでさえ滑りやすく、路肩が崩れやすいために危険。乗用車タイプやワンボックスなど、悪路走行を前提としていない車、特に2WD車でオフロードを走行する行為は極力避けるべきでしょう。

水分を含んだ未舗装路はスリップや滑落のリスクが特に高まります。車を停めた時点では路面が乾いていても、雨や湧き水などによってぬかるみ、発進できなくなることは決して珍しくありません。どうしても未舗装路に車を停めなければいけないときは、近くに水が流れていないこと、水が湧き出てくるような場所でないこと、また倒木や落石の危険がない場所であることを十分に確認します。

ワンボックス
自然の中では車を停める場所にも細心の注意を!

■天候急変に注意する

山の天気は変わりやすいもの。出かけたときは晴れていても、途中で天候が急変することはしばしばあります。悪天候時の山は視界が悪く、路面もぬかるんで大変危険です。山に出かける前には必ず天気予報を確認。駐車するときも天候が急変していないか、まめに屋外に出てチェックするようにしましょう。

極端な悪天候時は走行を諦め、車内で天候が回復するまで待つ判断も必要です。

悪天候
天候急変を察知したら、できるだけ安全な場所を探して停車するのがセオリー

■ペダルやステアリング操作はできるだけ優しく

砂利道や泥濘地、砂地、雪道といった路面は、舗装路に比べて路面抵抗が極端に低くなっています。そのため急にアクセルペダルやブレーキペダルを踏んだり、ステアリングを大きく切ったりすると、すぐにスリップしてしまいます。悪路ではペダル操作やステアリング操作をできるだけ丁寧に行いましょう。

■腕や頭を絶対に車外に出さない。車内ではシートベルトを必ず着用する!

よく車の窓から腕などを出して運転する人を見かけますが、万一の事故時を考えると大変危険な行為です。運転中はもちろん、牽引作業中も含めて、運転席に座っているときは絶対に窓から体を出してはいけません。

シートベルト着用についても同様です。事故などで車が転倒したとき、シートベルトを締めていないと体が車外に投げ出されてしまいます。牽引中、被牽引車に人が乗らざるを得ないときも、必ずシートベルトを着用しましょう。

シートベルト
シートベルトを着用することで、事故に遭遇した際の身体的被害を大幅に低減してくれる

■メンテナンスを怠らない

出かけ先でのトラブルを防ぐためには、オーナー自身がいつも車の状態を万全に保たなくてはいけません。車検、12か月点検などの定期点検はもちろん、日常点検(運行前点検)もドライバーの義務です!

参考:日常点検15項目(私にもできるマイカー点検)

万一、山間部などでトラブルが発生してしまうとJAFなどの救援を呼んでも来られない、あるいは到着までに時間がかかってしまうことがあります。パンク修理キットやブースターケーブルなどを車内に備え、自力でトラブルから復旧する対策を講じておくことも有効です。

■スタックに備えて日頃から準備しておく

いくら慎重に運転していても、路面状況等によってはスタックしてしまうことがあります。スタックしてしまったとき、採るべき対処はまずロードサービスに連絡すること。万一の事態に備え、日頃からJAFや保険会社の連絡先を控えておきましょう。

ただし、山間部では携帯電話がつながらなかったり、ロードサービスが来られない場所だったりすることがあります。そうした状況では、自力脱出もしくは他車の牽引に頼るほかありません。スタックからの自力脱出には「地形を変えてしまう」のが最も効果的な方法。時間と労力はかかりますが、タイヤが空転している地面をスコップなどで平らに均す、穴を埋めることで脱出の可能性が高まります。近くに他車があるなら、レスキューを依頼するのも一案。ただし、それもロープがなければ牽引できません。スタックした場合に備え、スコップやロープを車内に用意しておくことがベストな方法です。

常にリスクを下げる工夫を!

車を運転する限り、事故のリスクをゼロにすることはできません。しかし万一の事態に備えて普段から対策しておくことで、ダメージを最小限に抑えることはできます。山や林道などリスクの高いフィールドに出かける際は特に細心の注意を払いましょう。

車の悪路走破性を上げるのも、万一の事態を防ぐために効果的な方法のひとつです。たとえばLSDを装着していれば、悪路でスタックするリスクを大幅に軽減できます。オフロードを走る機会、山道に出かける機会が多い人にはLSD装着を強くお勧めします。