車の楽しみ方は千差万別。ワインディングを走らせて腕を磨くのも一興なら、所有していることに喜びを感じ、ピカピカにしておくのも楽しみ方のひとつです。

趣味のギアを運ぶトランスポーターとして車を選ぶ、という人も当然いるでしょう。ギアの大きさや形状によって、また出かけるフィールドによって、ぴったりな車は変わってきます。

今回はそんな点で、趣味のトランスポーターとして役立ってくれそうな車を選んでみました!

トランスポーターにぴったりな車の選び方

ただボディサイズが大きい車を選べばいいってもんじゃありません。乗る人の数と積みたいギアの大きさや形に合わせて、ちょうど良いサイズの車を選ぶことが大切です。

たっぷりしたカーゴスペースがある車は確かに便利ですが、車体が大きすぎるとキャンプ場での取り回しに苦労するでしょう。ギアを積むのに必要十分な大きさの荷室があることを前提に、機動力があり、普段の使い勝手にも優れている車を選びます。

荷室の形状やシートアレンジに注目

トランスポーターは趣味で使うギアの大きさ、形状を基準に選ぶのが吉。たとえば9フィートのロングボードを車内に積みたいなら、最低でも300cm程度の奥行きがある荷室がある車、家族4人でキャンプに出かけたいなら後部座席の後方に4人分のキャンプ道具を載せられる荷室がある車という選び方になります。

またシートアレンジについても車によって大きく異なるので、自分の使い方に適したものを選びましょう。後部座席の格納方法には、シートバックを倒すだけの「シングルフォールディング」、跳ね上げた座面のスペースにシートバックを収める「ダブルフォールディング」、座面とシートバックをまとめて前に倒す「タンブル」、座面とシートバックが床面と面一になる「ダイブダウン」などの方式があり、それぞれ一長一短あります。

内装の素材もポイント

スポーツのギアをがんがん積みたいなら、内装に撥水性の素材を使っている車が便利でしょう。シート表皮に撥水性と通気性を両立する新素材が採用されている車もあり、便利で快適になりました。

本来はビニールシートが撥水性でも掃除のしやすさでも一番ですが、最近は貨物車でも採用例が少なくなりました。そんなときはアフターパーツのシートカバーを装着することで代用できます。ウェットスーツと同じ素材(ネオプレーンなど)でできたシートカバーもありますよ。

趣味のギアを運ぶのに便利な車5選

トランスポーターとして使うのにぴったりな5車種をピックアップしてみました。ただ同じ趣味でも人によってギアの大きさは異なり、一緒に出かける人数にもよるため、これがベスト! とは限りません。あくまで選び方の一例として参考にしてください。

ワンちゃんと一緒に出かけたいなら……スペーシア ベース

新車価格:1,394,800〜1,667,600円

荷室サイズ(最大):1,205mm(長さ)×1,265 mm(幅)×1,220 mm(高さ)

軽トールワゴンとして大人気のスペーシアを、軽貨物車に変身させたのがスズキのスペーシアベース。手法としてはホンダのN-VAN同様ですが、スペーシアベースの何が便利かと言うと……ずばり、荷室アレンジの多彩さです。

中でも後部座席をフラットにした上で、マルチボードで荷室と後部座席を仕切った「前後分割モード」はワンちゃんと乗せるのにぴったり。リアゲートを開けてもワンちゃんが急に飛び出してくることがありません。床面、ドア内張りが樹脂素材なので掃除も楽ちんです。

他にも、マルチボードをフラットに接置すれば車中泊にぴったりの空間になったり、高い位置に設置すればデスクとして使えたり、とスペーシアベースの車内は使い方にあわせて変幻自在。様々な趣味のトランスポーターとして役立ってくれることでしょう。

スノボやスキー、サーフィンの友に……プロボックス

新車価格:1,491,000〜2,014,000円

荷室サイズ(最大):1,810mm(長さ)×1,420 mm(幅)×935 mm(高さ)

商用バンの筆頭といえばトヨタ プロボックスの名前が挙がることでしょう。ビジネスシーンで活躍しているのはもちろん、最近ではプライベートで選ぶ人も増えています。荷物の積載を最優先した作りは、趣味のギアを積むのにもピッタリです。


ほとんどのグレードで採用されている塩化ビニール張りのフロアは、濡れたギアをそのまま積載しちゃっても全然問題ありません。後席の一体型シートバックをワンアクションで倒すだけで、素早く広大な荷室空間が作れるのもプロボックスの美点です。ただし、平坦な形状の後席はお世辞にも座り心地が良いとは言えないので、2名乗車+趣味のギアが前提です。

キャンプシーンで大活躍……カングー

新車価格:2,647,000円

荷室サイズ(最大):1,803mm(長さ)×1,539 mm(幅)×1,155 mm(高さ)

ルノー カングーと言えば、フランス現地ではお花屋さんや宅配業者さんなど、プロ御用達の一台。ただ車内が広いだけでなく、観音開き式のリアゲート、背が高い荷物も余裕で飲み込むボクシーな荷室形状、乗員の乗り降りも荷物の出し入れもしやすいスライド式リアドアが魅力です。

となると、ファミリーキャンプで使いやすそう! という想像は誰しも思い浮かべるところでしょう。乗員4人+4人分のキャンプ道具となると積載できる車は限られますが、カングーなら楽勝です。そして何よりオシャレ! キャンプサイトで目立つ一台となってくれそうです。

ちなみにカングーは2023年春にフルモデルチェンジして新型が導入される予定。こちらも楽しみです!(写真、データは従来型)

ロングボードやウインドサーフィンが趣味なら……キャラバン バン

新車価格:2,426,600〜4,523,200円

荷室サイズ(最大):3,050mm(長さ)×1,520 mm(幅)×1,325 mm(高さ)

趣味で使える商用バンとしてはトヨタ ハイエースがメジャーな存在ですが、永遠のライバルである日産 キャラバンも実力では決して負けていません。最大の魅力は、10尺モノ(約3030mm)が積める荷室サイズ。3050mmという荷室長(最大時)は、ハイエースを50mmも上回っています! ロングボードやウインドサーフィンなど、長尺ギアを積みたい人には打ってつけの一台と言えるでしょう。

使い方に応じてフックやバー、棚などを取り付けられるユーティリティナットがふんだんに用意されているのも、キャラバンの特筆すべき点です。ギアは天井から吊って積載し、フロアは車中泊用のスペースに、といったアレンジが自在にできるのです。

MTBが趣味の人は……ハイラックス

新車価格:1,491,000〜2,014,000円

荷室サイズ(最大):1,565mm(長さ)×1,380 mm(幅)

MTBなど汚れやすい道具を運ぶなら、ピックアップが一番。トヨタのハイラックスは、現行国産モデルで唯一、新車で買えるピックアップです。国内販売されている現行モデルはダブルキャブのみなので長いギアは運べませんが、泥汚れを気にせず、そのまま積載できる利点はピックアップならではと言えるでしょう。

ボディや荷台はサビに強い素材が使われているため、マリンスポーツを趣味にしている人にも便利。汚れた荷台をホースで水洗いできちゃうのです。硬派で信頼性の高いパートタイム式4WDを採用しており、砂地や泥濘地で頼もしいのもハイラックスの魅力です。