車中泊するためにミニバンやワンボックスを選ぶ……という人は少なくないでしょう。

フィールドの目の前に泊まれる、宿泊代がかからないなど、車中泊するメリットはたくさん。夜討ち朝駆けの釣行やサーフィン、スノボなどの趣味で活用できるのはもちろん、万一の災害時に車を避難先として使えるメリットもあります。

この記事では、車中泊目線で車を選ぶときのポイントを解説、車中泊におすすめの車5選を紹介します!

車中泊にぴったりな車の選び方

その気になれば、どんな車の中だって寝られるでしょう。でも快適に休もうと思ったら、いくつかの条件があります。

ポイントは“翌日に疲れを残さない”こと。車中泊した結果、疲れてしまって遊びに集中できないのでは元も子もありません。また災害時など連泊することを考えても、快適に休めることが大切です。

車中泊に適した車の条件①「ボクシーで使いやすい車内空間であること」

車中泊ではただ眠るだけでなく、着替えたり、ちょっとした食事をとったりするのも車の中。車内空間が広いに超したことはありません。車内の奥行きや幅だけでなく、頭上空間に余裕のあることも大切です。

ただ、車体サイズが大きすぎると普段の取り回しが悪くなり、持て余してしまいます。通勤や買い物での使い勝手も考慮しながら適切なサイズの車を選びましょう。

車中泊に適した車の条件②「フラットな床面を素早く作れること」

実はこれが一番の難問。ミニバンやワンボックス、SUVの多くはフルフラットにできるシートアレンジを実現していますが、車種によっては寝床がデコボコになってしまう場合があります。

その場合でもクッションを詰めるなどの工夫によって凌げますが、車中泊を目的にするなら、できるだけ手軽にフラット化できる車種を選ぶべきでしょう。すると、シートの座面側ではなく、荷室床面やシート背面側を寝床にできる車が便利です。

車中泊に適した車の条件③「フィールドまでの移動が快適なこと」

車中泊するシーンでは、長距離移動になることもしばしば。車内が広くてフラットな寝床を確保できることに加えて、長距離移動が楽ちんであることも車選びの条件として加えたいところです。

車高が高いことは前述のとおり、快適に車中泊する上でメリットになりますが、高速走行では「横風などの影響を受けやすく、ふらつきやすい」というデメリットになることも。直進安定性の高い車は、長時間のドライブで疲れにくいと言われています。

車中泊におすすめの車5選

車中泊に適した車はたくさんありますが、ここでは上記の条件を踏まえた上で、特におすすめの車5選をピックアップしてみました。

ホンダ N-VAN

新車価格:1,276,000〜1,762,200円

ボディサイズ:全長:3,395mm×全幅:1,475mm×全高:1,850〜1,945mm

車中泊できる人数:1名+α

ホンダの人気車種、N-BOXの軽バン版と言えるのがN-VANです。貨物車ながらビジネスユースだけでなく、プライベートでの使用も考えられたオシャレな外観、使い勝手が魅力。

最大の特徴は何と言っても、四角くて使いやすい車内空間とフラットで低い……車中泊の寝床にぴったりな床面でしょう。助手席とリアシートは簡単な操作でダイブダウンさせることができ、長さ2635mmの荷室と面一な寝床を作ることができます。これなら背の高い人でもOK。ただし運転席は固定で、その後ろには小柄な人しか横になることができません。

頭上空間にも余裕がある上、パイプや棚などを接置できるユーティリティナットが豊富に用意されているため、趣味のギアを固定したり、用途に合わせて架装したりするのも楽ちん。乗用車と同じ先進安全装備「Honda SESING」が標準装備されているのも魅力のひとつです。

ホンダ フリード+

新車価格:2,369,400〜2,754,400円

ボディサイズ:全長:4,295mm×全幅: 1,695mm×全高 1,710mm〜1,735mm

車中泊できる人数:1〜2名

コンパクトミニバンのフリード、その中でもフリード+は2列シート5人乗りに特化したモデルです。単にシートの数が少ないだけでなく、フリードより荷室床面高を下げ、テールゲートのデザインも専用にする、という芸の細かさ。車内空間のキャパシティは見た目に違わないところですが、シートアレンジの多彩さに注目です!


1列目&2列目シートでフラットにできるほか、荷室床面と2列目シート背面でも「おやすみモード」と呼ばれるフルフラット空間にできるのです。「おやすみモード」の床面は奥行き1850mm、幅1130mmと大人ふたりが足を伸ばして横になれる広さ。

床下にはアンダーラゲッジスペースがあり、衣類や小物などをキレイにしまっておけたり、荷室にアクセサリー電源があったりするのも便利です。

トヨタ シエンタ

新車価格:1,950,000〜3,108,000円

ボディサイズ:全長 :4,260 mm×全幅: 1,695 mm×全高: 1,695 mm〜1,715 mm

車中泊できる人数:1〜2名

2022年に3代目へとフルモデルチェンジしたシエンタ。コンパクトな車体に見えますが、セカンドシートを倒して「フラットラゲージモード」にしたときの荷室長はなんと2045mmにも。シートを倒す操作もワンアクションで簡単です。

シエンタには2列シート5人乗り仕様と3列シート7人乗り仕様がありますが、車中泊を前提に選ぶなら2列目シートがダイブダウンして荷室とフラットな床面となる前者が断然オススメ。荷室高が1055mmも確保されているので、大人が横になった状態で頭上や足もとに背の高い荷物を積載しておけるのも利点です。

セレナ マルチベッド

新車価格:3,840,100〜4,482,500円

ボディサイズ:全長 :4,690〜4,810mm×全幅: 1,695 〜1,725mm×全高: 1,870 mm〜1,895 mm

車中泊できる人数:2名

3列シートミニバンの多くは1列目&2列目シート、もしくは2列目&3列目シートをつなげてフルフラットにできますが、意外にデコボコしていて、そのままでは寝にくかったりします。セレナも例外ではありませんが、日産直系のカスタマイズファクトリーであるオーテックの仕様に「セレナ マルチベッド」という車中泊専用仕様が用意されています。

専用設計されたベッドマットを展開すれば、大人ふたりがゆったり横になれるスペースが出現。クッションの厚みが十分にあり、ベッドマット非使用時は2列目シート後方にすっきり収納できるのも魅力です。

ディーラーで購入できる本格的な車中泊仕様。ミドルクラス・ミニバンでの車中泊を考えている方は、ぜひ候補に入れるべき一台と言えるでしょう。

トヨタ ハイエース バン

新車価格:2,392,100〜3,755,500円

ボディサイズ:全長 :4,695〜5,380mm×全幅: 1,695 〜1,880mm×全高: 1,985 mm〜2,285 mm

車中泊できる人数:2名+α

 

もはや説明の必要がない、車中泊のベストパートナーとも呼べる存在。2列目シートを活かした5名乗車時で1855mm×1520mm、2列目シートを畳むと2470mm×1520mmもの広大な荷室空間=寝床が出現します。積載を前提とした貨物車だけに、車内のキャパシティは抜群です。

アフターパーツはふんだんに用意されているため、自分の好みどおり、いかようにもカスタマイズすることが可能。その気になれば本格キャンピングカー顔負けの仕様にすることもできるでしょう。素材がシンプルなため、カスタマイズし甲斐があります。

一方で乗り心地や直進安定性については、残念ながら乗用ミニバンに及びません。しかし、そうした数少ない弱点についてもサスペンションをチューニングしたり、LSDを装着したりすることでカバーできます。LSDの装着については、ぜひOS技研にご相談ください。