その洗い方、ホントに正しい? 洗車のセオリーとNG行為、洗車の都市伝説を検証!

ステアリングを握る手が汗ばむようになってきた、この時期。洗車するには絶好のシーズンがやって参りました! 洗車マニアを自称するワタクシにとっては、一年の中で最もエキサイトするシーズンでもあります。さて、そんな洗車について、今回はセオリーを紹介しつつ、巷でよく言われている常識のウソを暴いていこうと思います。

車を洗うなら、まず天気予報を確認

洗車をするとき、まず気にしたいのは天気。晴れている日の洗車は気持ち良いものですが、直射日光がガンガン照りつける日の洗車はオススメできません。というのも、洗ったそばから乾いてしまい、シャンプーを完全に洗い流せないためです。ということで洗車は、曇りや雨の日にするのが吉。土砂降りの日に洗車場に行くと、変わった人だなあ、という目で見られますが、気にせず洗車しましょう!

洗車で最初にすべき行程は、水でよく汚れを洗い流すことです。洗車前のボディは表面に細かな塵などの汚れがのった状態。そのままスポンジなどで洗ってしまうと、汚れ成分でボディを傷付けてしまいます。最初に水流で汚れをできるだけ落としてしまうことが大切です。

高圧洗浄機
▲最初に汚れを落とすには、高圧洗浄機を使うのがベスト。なければホースの口を絞って勢いよく水で流すだけでもOK

洗う順番はよく「上から下に」と言われますが、これは間違い! 最初にホイールやタイヤ、下周りの汚れを落とします。理由はこの部分が最も汚れており、ホイールなどを洗うと汚れがボディにも飛び散ってしまうからです。下周りの汚れをしっかり落としたら、常識どおり「上から下に」、つまりルーフから洗い始めてOKです。

ホイール洗い
▲ボディを洗うスポンジと、ホイール等を洗うブラシは必ず使い分けよう。

ちなみに最近は“水いらずのカーシャンプー”なる製品も数多く発売されていますが、洗車マニアとしては正直、あまりオススメできません。理由は前述のとおりです。「外出先でひとまず見た目をキレイにしなきゃならない!」場合などの緊急手段と考えましょう。

シャンプーは製品によって使い方が違う

高圧洗浄機などで大まかな汚れを吹き飛ばしたら、次はシャンプーを使います。シャンプーは「事前に泡立ててからボディを洗う」のがセオリーとされていますが、それって正しいのでしょうか?

答えは「製品による」です。カーシャンプーには主に、泡で汚れを包み込んでキレイにする中性洗剤タイプと、化学的に、あるいはコンパウンド等で物理的に汚れを落とすタイプが存在します。前者の場合は泡立てるのが正解。しかし後者の場合は、泡立てる必要がありません。自分が使っている製品の使用方法を確認しましょう。

スポンジ
▲アメリカンコミックに出てくるチーズのような、目の粗いスポンジの方がキズは付きにくい

いずれにしても、シャンプーをボディに直接かけるのはNG。水で洗い流しても、洗浄成分が残りやすくなってしまいます。シャンプーは必ずスポンジに取って、ボディに乗せるイメージで。スポンジはできるだけ軽い力で、撫でるようにストロークします。

ここでもひとつ注意点! スポンジに小石などが挟まっていないか、作業前に必ず確認しましょう。万一、小石などでボディを引っ掻いてしまうと取り返しがつきません。当たり前のことですが、意外とやっちゃいがちなミスです。

スポンジの動かし方はタテタテヨコヨコと直線的に。映画「ベストキッド」でダニエルさんが教えてくれたように丸く円を描くようにスポンジを動かすと(映画ではワックスでしたが)、洗車キズが光に乱反射して目立ちやすくなってしまうからです。直線的にスポンジを動かしても多少のキズはつきますが、一方向から光が当たったときしか反射しないため目立ちません。

洗車時のストローク
▲できるだけ軽い力で汚れを落とす。スポンジがつぶれた状態でボディをこすらないよう注意

トラップ粘土は面倒でも毎回必ず!

さて、ルーフなどボディの一部分をシャンプーで洗い終わったらその都度、水でキレイに洗い流します。洗浄成分が乾いてしまわないようにするためです。洗浄成分が残っているとシミになり、かえって汚れが貯まりやすくなってしまいます。ちなみに水にもミネラル成分などが含まれており、そのまま乾かすのはNG。洗車はルーフ→ガラス→ボンネット→ドア→サイドシルなど、部分ごとに作業していくのがセオリーです。

あとは拭き取って終わり……ではありません。洗車した後、ボディが濡れているうちに「トラップ粘土」をかけましょう。「トラップ粘土(粘度クリーナーとも)」はボディ表面に刺さっている鉄粉やタールなどを捉まえてくれるもの。ボディ表面は一見、キレイに見えても実はブレーキダストなどの鉄粉などが刺さりまくっています。特に線路の近くに駐車場がある人は要注意。電車からのブレーキダストが降り注いでいる場合が少なくありません。

粘土
▲トラップ粘土(粘土クリーナー)はカー用品店、通販などで購入できる

ウソだと思う人がいたら、お菓子の包み紙など薄いビニール越しにボディを撫でてみましょう。思った以上にザラザラしていることが分かるはず。これをそのまま放置するとワックスやコーティング剤が伸びにくくなり、ボディから艶が消えてしまいます。洗車の後は必ずトラップ粘土をかけることをオススメします。

トラップ粘土かけが終わったら、もう一度水をかけ、吸水性の高いクロス、セーム革(羊皮)などで丁寧に拭き上げます。この時もストロークは直線的に。ボディを撫でるときはいつも直線! でOKです。

ちなみに、洗車はどんなに注意深く作業しても、多少なりともボディをキズ付けてしまう行為。キズを少しも付けたくないなら、実は洗車しない方がベターです。でも、埃だらけの車に乗るわけにはいきませんよね? だから洗車後は定期的にコンパウンド(研磨剤)をかけるのが定石なのです。

「コンパウンドがけ」は塗装表面を薄く削り取り、平滑に均す行程。回数を重ねるほど塗装面が薄くなるので注意が必要ですが、年に一回程度の作業頻度なら問題ありません。コンパウンドをかけることで、塗装表面に新車時の輝きが蘇り、ワックスやコーティングの効果もアップします。

ということで、今回はシャンプーやトラップ粘土を使った洗車の基礎について解説しました。コンパウンドやワックスについて解説すると、とても1記事内には収まらないので、また次回に。