キャンプの醍醐味は焚き火にあり!
グランピングからソロキャンプまで楽しみ方が多様化した現在のキャンプシーン。凝った料理を作ったり、家電を持ち込んだりして快適さを追求するのも悪くありませんが、シンプルに焚き火するだけでも十分楽しめますよね。現代では珍しくなった直火OKのキャンプ場で、晩秋のキャンプを楽しんできました。
キャンプ場にも電源まで揃った高規格な所から公営のリーズナブルな所までいろいろありますが、今回行ったのは、伊豆・修善寺にある「CAMP BEAN(キャンプ・ビーン)」。高規格とは正反対で、電源やシャワーはもちろん、水道も炊事場もゴミ捨て場もない、山を切り拓いたままのようなキャンプ場です。
飲料水を持っていく手間や、なるべく洗い物が出ないような料理にする工夫、ゴミを持ちかえるなど、普通のキャンプではかからない不便さはありますが、それもまた一興。不便な分だけ自然に近く、ワイルドなキャンプを楽しめます。自然の樹木を拾ってのブッシュクラフト、焚き火を楽しむにも、もってこいの場所と言って良いでしょう。
さて、キャンプはいつの季節も楽しいものですが、個人的には秋が最高の季節だと思っています。その理由を書きましょう。
・空いていて予約が取りやすい!
キャンプのハイシーズンと言えば、夏。家族の予定をあわせようとすると夏休みくらいしかないので仕方ないところですが、キャンプ場も大混雑します。その点、秋〜冬は人が少なめで自然の中にいる感を満喫できるというわけです。
・温度管理が楽
そうは言っても、寒い季節にキャンプするのなんてイヤだ! という人も多いでしょう。しかし私の経験から言わせていただくと、猛暑の中でキャンプする方が地獄です。寒いのはウェアを着込んだり、火を焚いたり、シュラフにくるまることで対処できますが、暑さに対処する術はほとんどありません。以前、真夏に海の近くにあるキャンプ場に行ったことがあるのですが、昼間は照りつける日光を遮るものがなく、夜は暑くて寝苦しい……と大変な思いをしました。
・乾燥していて撤収が楽
湿度が高い夏のキャンプではテントやタープを乾かすのに時間がかかります。チェックアウトの時間が早いキャンプ場だと、湿ったまま畳まなきゃならないことも……。その点、秋や冬は空気が乾燥しているので、撤収するのが断然楽ちん。キャンプにかかる労力を大幅に低減してくれます。
・虫が少ない
虫が嫌いってわけじゃないんですが、ランタンやテーブルのまわりが虫だらけになっていると、掃除するのが大変。秋冬なら、蚊やアブに刺される心配もありません。
上記の他にも、「夜空がキレイ」「木が乾燥していて、焚き火に火を点けやすい」というのも、秋冬キャンプの魅力です。
さて、今回このキャンプ場を選んだ理由のひとつが、「直火で焚き火ができること」でした。普段は折りたたみ式の焚き火台を使っていますが、重いからできれば持っていきたくないのが本音。それに直火のほうが「自然の中に来た!」という風情が味わえます。薪の燃えるパチパチという音、ゆらめく炎は癒やし効果抜群です。
直火を楽しむには、マナーを守るのが大前提。しかし最近は直火OKのキャンプ場が少なくなっており、焚き火のやり方やルールを知らない人も少なくなさそうです。ここではバーナーや着火剤を使わず、手軽にできる焚き火の手順を紹介しておきましょう。
①焚き火を行う場所の周囲を石や枝などで区切り、内側をホウキで掃いて地面を露出させます。落ち葉などに引火しないようにするためです。
②薪を置く場所をスコップで少し掘ります。こうすることで薪に火が点きやすくなります。
③薪を斧やバトニング(ナイフで木を割ること)できるナイフで細かく割ります。最初に火を点ける焚きつけ用の薪は、鉛筆の芯ほどの細さに。次に燃え移る薪は割り箸より少し細く……と少しずつ太さを変えていきます。
④風向きを意識しながら、薪をV字型もしくはテント型に並べます。下の層に焚きつけ用の落ち葉や細い薪を、上の層に行くに従って太い薪を。立ち上がる炎の上に薪が乗るよう丁寧に配置しましょう。紙などを燃やすと風で灰が飛び、他のサイトに迷惑がかかるのでNGです。
⑤ある程度、火が立ち上がってきたら、太めの薪を斜めに立てかけ、炎が当たるように、かつ適度に下から空気が入るように配置します。強力な火力を得たいときにはキャンプファイアーのような井桁型に組むのもアリ。焚き火を長い時間楽しみたいなら、一本ずつくべていくのがベターです。
⑥焚き火が終わったら燃え残りをできるだけ少なくするため、火バサミなどで薪を中央に集めましょう。
⑦残った灰や燃えカスなど土以外のものは全て、火消し用の一斗缶や火消坪に入れます。少しでも燃え残りがあると、土で埋めても消火されず、時間が経ってから再び炎が立ち上がることがあるので要注意!
⑧最後はスコップで掘った部分を埋め戻して終了。次にサイトを利用する人が上にテントを張れる状態まで平坦にしておきましょう。
ちなみに川原などキャンプ場外で焚き火するときは、基本的に焚き火台を使いましょう。
今回はできるだけ荷物を少なく、自然の中にいることそのものを楽しむ目的でキャンプしてきました。ところで今回は路面が乾いていたこと、そしてSUVで出かけたためにトラブルはありませんでしたが、もし雨が降ったら4WD車でもスタックしかねないロケーションでした。アウトドアに出かけるなら、やはりLSDの付いている車が安心ですね。